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では、続きです。
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多分だけど、きっとこういう感じなんだと思った。
高校時代、自分の周囲にいた、所謂普通とされる人たちが味わっていたもの。
自分のことを特段隠す必要はなく、周囲にいるのは自分と同じような人たち。
何だか不思議な感覚だった。普段は少数派でしかない自分が、その場所では、そうではなかった。
その感覚を、初めて味わった。
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インカレ
“セクシュアルマイノリティ”の居場所
大学にはいってから、学内のサークルに入りバイトも始めた頃。
ひとしきりその生活に慣れ始めた頃、あるインカレの存在を知った。
自分と同じ、性的少数者が集まるサークル。大学を問わず加入することができた。
ホームページからそのサークルのサイトを調べ、雰囲気を見てみる。
自分と同じような人も、ここなら沢山会えるかもしれない。
夏前の梅雨の時期、そのサークルの説明会に参加することにした。
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自分の大学の最寄駅から電車で少し、そうたいして遠くもないところにそのサークルの拠点とする別の大学があった。別大学のキャンパスに入ることには少し抵抗感があったのだが、待ち合わせとする場所に向かった。
事前にメールで担当者とはやり取りをしていた。ネット経由で誰かと会うことはこれが初めてではなかったが、やはり緊張する。
どんな人だろうと想像した。名前を見る限り男性に多い名前と捉えられるが、もしかすると戸籍上は女性の人なのかもしれない。こういうサークルだから、そんなこともあるだろう。
そんなことをぐるぐる考えつつ、待ち合わせ場所に向かった。
その日は自分の他にも説明会に参加する人が一人いた。戸籍上は女性で恋愛対象については性別を問わない人だった気がする。彼女（この呼称が正しいのか正直わからないが）も合流し、担当者と会うことができた。
担当してくれたのは自分よりも２学年上の先輩。自分と同じ、男性で同性を恋愛対象とする人だった。
自分と似たような人で安心した。というより、こんな形で自然に（サークルの説明会という名はあるけれど）自分と同じような人に会えたことが嬉しかった。
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説明会は部室で行われた。この日は新歓の時期ではなく、自分を含め参加者は二人のみ。しかしサークルそのものの規模は大きく、150人を超える所属者がいるそうだ。
サークルで主にやることといえば、サークル生同士の交流。実生活では少数者として生活をする自分たちが、似たような友達を作る場所。そして自分たちの居場所となる場所を作ること。これがこのサークルの主たる目的だった。
普通の人から見ればただのイベントサークルなのだろう。自分たちからすると、意味合いが若干違うのだが、それは自分たちにしか理解はできない。
基本的に参加するのも自由、自分の名前ですら名乗る必要はなく、好きな自分として振る舞うことができる場所であった。
もちろん、アウティングを防ぐため色々な制約もあった。月に一度行うイベントの場所は当事者以外秘匿、このサークルの名前ですら、大々的には使用しない。
ここまで守られているのだから、この辺りの不安はなかった。
すぐに参加しようと決めた。
説明会の後、キャンパスから出ると雨が降っていた。
少しだけ狭い道を、傘をさして歩く。
一緒に説明を受けていた彼女、そして担当してくれた先輩、それから、部室にいた他のサークル生。
自分は一人なんだと、孤独感に潰されそうになっていた頃が浮かんで、感慨深い気持ちになった。
両親に打ち明けてからここに至るまで。
色々なことを、変えられた気がした。
自分で起こした行動と、得られたもの
家族にはカミングアウトをしている。大学の友達にも。
高校生の頃と比べるとその生きやすさは全く異なっていた。
正直、そんな現状に満足もしていたかもしれない。けれど、このサークルに足を踏み入れてよかったと今思えている。
自分と同じような人にたくさん会えたこと。
一方で、考え方も価値観も違う人と、沢山接する機会があったこと。
自分たちのこと、自分のことを深く知る機会もあったこと。
今の自分の価値観ができ上がるまで、この経験は間違いなく自分に影響している。
小さくてもいい。
何かしら行動することは、その後の自分の生き方に関わってくる。
……なんていう、当たり障りのないことしか書けないけれど、
要するに頭の中だけで終わらせてはだめなんだって、
そんなことに気づいたお話。
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