ずっと、ついてまわったものがある。
今日はその話。
○
帰り道、駅のホームで
死にたいと思った。
遠くに、次の電車が来るアナウンスが聞こえる。
多分、それは遠くではなく、きっと近くのスピーカーから聞こえている声なんだろうけど
それは不思議と、遠くの方で響いていた。
人が多く集まる時間。
時刻は確か、5時か6時のその辺り。
帰宅ラッシュの時間で、狭いホームに列をなしている。
ここは学校の最寄駅。
家路へと続く電車を待つ。
改修工事の前だった。まだホームドアがついていない。
人の列を避けるようにして、黄色い線とホームの端のわずかな隙間を歩いた。
今
誰かが自分のことを、押してはくれないだろうか。
ホームの端を歩く度に
そんなことが、決まって頭によぎった。
自分で死ぬ勇気なんてないのにね。
バカみたい。
中途半端な希死念慮をぶら下げて
惰性で生きていた。
いつのことだったか、思い出せない夜の中の一つに。
もういつのことか覚えていない。
夜、家の近くにある踏切を渡ろうとした時
そのちょうど真ん中で、足が止まった。
次に電車が来るであろう方向を、見る。
警笛が鳴り初め、数回鳴ったあと
踏切から出た。
日付も変わる頃、そろそろ終電になるはずの時間。
誰もいない踏切を背に歩き始めた時、
夜の静けさを打ち消すようにして
電車が走り過ぎていった。
いつも胸の辺りにあったもの
うまく言葉には言えない。
けれど、いつも胸の辺りに、何か重たいものがあった。
時折それが強くなり、うまく息ができないような、息苦しい感覚にもなる。
胸の辺りの重たいものが、その重さを増す時、自分の心拍が早くなる。
その感覚がずっと消えなかった。
いつになったら、これは消えてくれるのだろう。
○
深夜に、あてもなく歩くことは大学生になってからも何度かあった。
それは決まって、自分の中に余裕がなくなり、辛くなった時だ。
でもこの時と、高校生の頃とで決定的に違っていたのは
そこに、死にたいという気持ちがあったかどうかだと思う。
ずっと、この気持ちだけが心に巣食っていた。
自分じゃどうすることもできず
その気持ちと、付き合っていくしかなかった。
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