大学生の頃② 最初に打ち明けた人

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では続きです。

 

自分に似たような人は、おそらく感覚でわかるのだと思う。

確固たる理由なんてそこにはないし、

だからこそ

何の格好もつかないのだけれど。

しかしまぁ類は友を呼ぶとかそんな一言で片付けてしまっては

なんだか勿体無い気がする。

形而上と言ったらいいのか、そういう曖昧なものに話を持っていってしまえば

抽象的なところに、そのものを置いておいてしまえば

きっと具体的に理解する努力はされないわけであって。

考えることの放棄なんだろうけれど

その逆に

何かの言葉に当てはめて、説明してしまえば

窮屈なものになってしまわないだろうか。

少なくとも、言葉にできない、あえて言葉にしないような

自由なもののほうが好きだったりする。

 

でもこうやって文章にして、忘れてしまうことから逃れようとしているあたり

自分のやっていることに矛盾を覚えるわけであって。

 

 


目次

大学生になってから、最初に打ち明けた人

大学生になってから、一番初めに打ち明けた人がいた。

同じ学科の人で、入学初期から仲良くなった人だった。

浪人期を経ていた自分は、周囲の同級生と比べ一歳だけ年上ということになる。

年齢なんて気にするものでもないが、当時の僕にとっては居心地の悪さを感じていた。

 

当時よく絡むメンツの中に、そいつはいた。

サークルの勧誘が始まり、いろんなサークルを一緒に見て回っては、飲み会に参加した。

 

当時の僕の中には、他人に対して一種の軽蔑心があった。

「人生に悲観する経験もなく、恋愛もろもろにうつつを抜かす、温室育ちの奴ら」

そういう見方だ。

加え休み時間、馬鹿みたいに騒ぐ同級生や、授業中もおしゃべりがやめられない人たちを見て、周りが自分よりも幾分か幼稚に思えた。

自分よりも学がなく、その上幼稚。

そんな奴らと自分とが、同じに扱われるのは不服極まりなかった。

 

今から思えば、他人を軽視する考え方こそ幼稚だ。

そう思えるようになったのだから、大学生の間にずいぶん成長できたのではないだろうか。

 

こんな風に周りを疎ましく思っていたにも関わらず、仲良くできる友人たちがいた。

頻繁に遊ぶことはなくとも、適度に連絡を取り合える仲だったと思う。

そのうちの一人が、最初に打ち明けた人だった。

ノリと勢いで打ち明けたこと

打ち明けたのは新歓飲みの後、帰路につく時だ。

「え!俺も浪人!」

そんな風に、二人の間で盛り上がった。

そいつが自分同様、浪人を経ていたことが分かった。

仲良くしているメンツのうちの一人に、自分と同じ浪人上がりがいる。

小さな共通点が見つかった。

同い年という事だけで、すごくうれしかったのを覚えている。

人間関係の中で、共通点がもつ役割は大きい。

相手に好感を持ちやすくなる。

 

この日はそこそこに酔いが回っていた。

お酒がほぼ飲めない自分でも、新歓という雰囲気によって普段よりも飲めていた。

少しふわふわする意識の中、帰り際新宿駅のホームで打ち明けてしまった。

 

お酒の勢いはもちろんあった。

それでも、「きっと話しても大丈夫だろう」という自信があった。

何故だかは分からない。

でもそいつの普段の言動や立ち振る舞いから、そう判断したのだろう。

 

誰かに打ち明けることは難しい。

それはそれまでの関係を、容易に壊しかねないから。

前提として、

自分のことを勝手に、他人に言いふらさないこと。
自分のことに嫌悪感をもつことなく、今後も関係性を継続していけること。

この二つがなければならない。

日頃の関わり合いから、信頼がおけるかどうかを判断する。

打ち明ける上でこれは、僕にとって必要なことだった。

打ち明けてから

打ち明けた時言われたこと、それは君は君だよ、ということだった。

そして「話してくれてありがとう」とも言ってくれた。

僕の両親と同じように、彼は受け入れてくれたのだった。

彼曰く、こうした「他人に容易に言えないような秘め事」を打ち明けてくれたことが、うれしかったらしい。

それはきっと僕の彼への信頼が、うれしかったという事だろう。

まさか打ち明けた自分が感謝されるとは思ってもみなかった。

僕のカミングアウトは、「君のこと信頼しているよ、だから話すよ」というメッセージを、暗に伝えていたのかもしれない。

 

彼とは、そこからかなり仲良くなれたと思う。

お互いに恋人ができれば紹介し合った。

事実僕は彼の恋人をみんな知っている。彼も同様だ。

真っ先に報告してくれるのがうれしい。

 

さすがに彼に「初体験」の報告をされた時は、思わず笑ってしまった。

今となってはとても良い思い出だ。

 

 

 

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